1.日本の男
作詞:荒木とよひさ
作曲:岡千秋
銭(かね)じゃ買えない ものがある
人の情けと 人の意地
洗いざらしの 木綿を着ても
真竹(まだけ)一本 魂(こころ)に差した
日本の男が ここにいる
天に唾(つば)吐く 奴は奴
罰(ばち)の当らぬ 訳(わけ)はない
握り拳(こぶし)の 我慢の汗で
勝った負けたに 魂(こころ)は売らぬ
日本の男が ここにいる
花は桜だ 山は富士
それが男の 手本だよ
時代遅れと 笑われようと
大和(やまと)生まれの 魂(こころ)は曲げぬ
日本の男が ここにいる
2.花一輪
作詞:荒木とよひさ
作曲:岡千秋
やっと一息 これから先は
歩く人生 人生 お前のために
辛い時でも 優しさ絶やさずに
がんばりましょうと ついて来た
花を一輪 一輪 咲かせたお前
いつも済まぬと 心の中で
何度詫びたか 詫びたか お前の背中(せな)に
他人(ひと)の倖せ 羨(うらや)むことなく
何(なん)にも云わずに ついて来た
涙一輪 一輪 咲かせたお前
少し見えたよ 明日(あした)が少し
苦労坂道 坂道 お前とふたり
夢のあと押し その手が折れるほど
力の限りに ついて来た
心一輪 一輪 咲かせたお前
3.雪簾
作詞:荒木とよひさ
作曲:岡千秋
赤ちょうちんが…
雪にちらちら ゆれている
ここは花園 裏通り
ひとりぼっちで 飲む酒は
遠い昔と かくれんぼ
今じゃ帰れぬ 故郷(ふるさと)が
胸のすき間で 見え隠れ
夢という奴ぁよ…
とうの昔に 捨てたけど
忘れられない 国訛(なま)り
こんな姿を おふくろが
生きていたなら 何歳(いくつ)やら
酔えば涙に なるものを
詫びる心に 積もる雪
根無し草にもよ…
好いて好かれた 女(ひと)がいた
畳ひと間の あの暮し
酒よ俺にも いいことが
ひとつふたつは あったけど
肩を細める 陸橋(ガード)下
春はいつ来る 雪簾(ゆきすだれ)
4.あかね雲
作詞:荒木とよひさ
作曲:岡千秋
まわり道でも この世にふたり
遠くに見えるの しあわせが
あなた待っててね ひとりぼっちはいやですよ
子供のように この手をつなぎ
道草しましょね あかね雲
いつも隣りを 歩いていてね
明日のむこうの 遠くまで
あなた待っててね ひとりぼっちはいやですよ
夕やけ小やけ ふたりを染めて
道草しましょね あかね雲
道の小石に つまずかないで
いつでもわたしが そばにいる
あなた待っててね ひとりぼっちはいやですよ
もう一度ふたり 生れてきても
道草しましょね あかね雲
5.浮雲ふたり
作詞:荒木とよひさ
作曲:岡千秋
浮雲みたいに このままふたり
流れて行けたら いいでしょうね
あなたの影を 踏まないように
わたしは心で 生きてる女
綺麗な愛だけ 信じます
小枝のつぼみは わたしの花ね
少しの陽だまり 下さいね
あなたの胸の 小さな庭で
わたしは心で 生きてる女
綺麗に咲く日を 信じます
遠くの浮雲 見つめるよりも
近くのわたしを 見つめてね
あなたのそばを 離れぬように
わたしは心で 生きてる女
綺麗な涙を 信じます
6.男節
作詞:石本美由起
作曲:岡千秋
エーエー エエエエー
今も昔も 昔も今も 大事なものは
意地と情けと 男と女
それじゃ皆様 チャカポコチャカと
叩く酒樽(さかだる) 吹く横笛に
調子合わせて ご披露(ひろう)します
聞いて下さい 男節
オーイサ オーイサ オーイサネー
エーエー エエエエー
姿絵になる 絵になる姿 男の衣裳
法被鉢巻(はっぴはちま)き 心がしまる
それじゃ皆様 チャカポコチャカと
粋(いき)な文句に 歌声のせりゃ
富士の山さえ 見とれてしまう
踊り上手な 人の波
オーイサ オーイサ オーイサネー
エーエー エエエエー
意地が男の 男の意地が 一番だよと
四角四面の 櫓(やぐら)の上で
それじゃ皆様 チャカポコチャカと
樽(たる)に命と 気合いを込めりゃ
空に響くよ 拍手の嵐
聞いて下さい 男節
オーイサ オーイサ オーイサネー
7.帰れないんだよ
作詞:星野哲郎
作曲:臼井孝次
そりゃ死ぬほど 恋しくて
とんで行きたい 俺だけど
秋田へ帰る 汽車賃が
あれば一月(ひとつき) 生きられる
だからよだからよ 帰れないんだよ
こんな姿を 初恋の
君に見せたく ないんだよ
男の胸に だきしめた
夢が泣いてる 裏通り
だからよだからよ 帰れないんだよ
今日も屋台の やきそばを
俺におごって くれた奴
あいつも楽じゃ なかろうに
友の情(なさけ)が 身にしみる
だからよだからよ 帰れないんだよ
8.恋唄流し
作詞:荒木とよひさ
作曲:市川昭介
あんたは きっと 弱虫だから
ひとりの 心に 住めない人ね
私の涙に 恋唄流し
酔えば 泣き出す 未練酒
それでもさ それでもね
生きてたうちで 一番だった
帰っておいでよ 熱燗つけるから
いまごろ 雨の 居酒屋横丁
それとも 誰かの 心の港
想い出ばかりの 恋唄流し
独りぼっちの この部屋で
それでもさ それでもね
憎めはしない いい人だった
帰っておいでよ 鍋でもつくるから
どこかで 独(ひと)り 飲んでるならば
はぐれた雀に なってるならば
もう一度 聴かせて 恋唄流し
逢えば昔に すぐもどる
それでもさ それでもね
灯(あか)りをつけて 待っててあげる
帰っておいでよ 背中を流すから
9.男夢まつり
作詞:松井由利夫
作曲:市川昭介
喧嘩御輿(けんかみこし)は 度胸でかつげ
胸の晒(さらし)は 伊達じゃない
酒をひと吹き しめりを入れて
ねじり鉢巻 こころ意気
あばれ男の 夢祭り
燃えて火となれ 華となれ
玉とはじけて とび散る汗が
いのち いろどる 勇肌(いさみはだ)
可愛いあの娘(こ)の 浴衣(ゆかた)の裾が
舞えば 血の気(け)が なお走しる
あばれ男の 夢祭り
燃えて火となれ華となれ
空にゃ 満月 太鼓の撥(ばち)が
風をはらんで 右、左
若さぶつけろ 四の五の言うな
ここが 見せ場の 花舞台
あばれ男の 夢祭り
燃えて火となれ 華となれ
10.人生夜汽車
作詞:荒木とよひさ
作曲:弦哲也
男には心の駅がある
ヒュルヒュル風吹く 駅がある
別れの汽笛 北国の町
裏町ギター 苦い水割り
今夜もどこかの居酒屋で
どこへ行こうか 人生夜汽車
男には心の女(ひと)がいる
ゆらゆら揺れてる 女がいる
長い黒髪 涙のしずく
想い出の道 はまなすの花
今夜もどこかの居酒屋で
どこへ行こうか 人生夜汽車
男には心に雪が降る
しんしん積もった 雪が降る
港の灯り 名もない横丁
淋しい演歌 かすれたネオン
今夜もどこかの居酒屋で
どこへ行こうか 人生夜汽車
11.春夏秋冬 屋形船
作詞:深野義和
作曲:深野義和
一寸先は 夕まぐれ
江戸の真ん中 お台場あたり
ユラリ揺られて 波の上
恋盗人(こいぬすっと)の 闇の宴(えん)
夏の終わりの 屋形船
水をすくった 浴衣(ゆかた)の君の
後(おく)れ毛が ああ 風流たね
乱れる裾は こむらさき
障子(しょうじ)をあければ 灯りが揺れる
あなたが好きと 気づいてる
恋盗人の憎らしさ
今夜で二度目の屋形船
ふくれるホッペに 手編みの籠と
鈴虫のプレゼント
金杉橋(かなすぎばし)は雪化粧
「言葉が白い文字になる」
粋な台詞(せりふ)のその後で
恋盗人が ささやいた
冬の真ん中 屋形船
熱燗(あつかん)よりも あったかい
心のマフラー あげようか
春待ち草の 咲く丘は
言問橋(ことといばし)から 隅田のあたり
船頭さんが 微笑んだ
恋盗人も もうこれまでよ
これが最後の屋形船
未練残すな 浮世の恋に
ため息が ああ、風流だね
12.春の雨
作詞:たかたかし
作曲:市川昭介
あなたの重荷に なるからと
路地を小走り 傘で泣く女
春の雨 降りしきる
あきらめばかり 先にたつ
そんなおまえの 襟(えり)ぼくろ
なにも言わずに 黙ってついて来い
踏まれてきたのか 人の世に
肩の薄さに 匂う沈丁花(ちんちょうげ)
抱きよせりゃ ぬらす雨
おまえの過去は 俺の過去
かけてみないか もう一度
俺の明日に 女のしあわせを
ほんとに 私で いいですね
俺を見つめて すがる細い指
ばかだなぁ もうよせよ
おまえの他に 誰がいる
遅い春でも 春は春
生きてゆこうよ ふたりの人生を
13.浪花そだち
作詞:たかたかし
作曲:市川昭介
雨にこぼれる露地裏あかり
酔ってあんたは 今夜も泣かす
苦労承知の恋だから
泣きはしないわ つくしてみせる
浪花そだちの 女です
酒を飲まなきゃいい人なのに
弱いあんたの 心がにくい
惚れているから叱るのよ
つらい涙は さらりと捨てる
浪花そだちの女です
たとえ貧しい部屋でもいいの
肩をよせあう くらしがあれば
どこで生きよと離れずに
ついてゆきたい 男の夢に
浪花そだちの女です
14.瀬戸内情歌
作詞:たきのえいじ
作曲:桜田誠一
南 火の国よ 北 雪の国
ここは 瀬戸内 海ばかり
待ってください 背を向けないで
娘ざかりの 身がつらい
春は名ばかり 姫小島
出船入船よ 漁火あかり
恋の絵巻きの 薄化粧
染めてください 爪の先まで
涙しずくが 雨になる
春は名ばかり 水無瀬島
命 海鳴りよ 鳴くかもめどり
誰に想いを 告げて鳴く
抱いてください 燃え尽きるまで
夢であなたに逢えますか
春は名ばかり 大三島
15.男船
作詞:やしろよう
作曲:市川昭介
荒れて 荒れて牙むく北海しぶき
来るなら来てみろ 吠えてみろ
沖へ出たなら 自慢の船さ
意地と度胸は半端(はんぱ)じゃないぜ
命 命 命知らずの 男船
きっと きっと あの娘(こ)に海鳴り便り
届けておくれよ 渡り鳥
陸(おか)にゃ住めない さすらい船さ
未練きっぱり波間に捨てる
情 情 情乗せない 男船
網を 網を引く手に血潮がたぎる
根性ひとつが 宝だよ
辛さこらえる 我慢の船さ
ここが一番 男の勝負
夢は 夢は 夢は大漁の 男船
16.花ごころ
作詞:たかたかし
作曲:岡千秋
冬の厳しさ 北風に咲く
花の凛々しさ 目に沁みる
嘆くな男なら
今日がだめなら明日がある 明日がある
生きてりゃついてまわる風
人生をあきらめず
花の魂(こころ)が 道しるべ
胸におさめろ 悔しさつらさ
いつか咲く日の 時をまて
嘆くな男なら
今日がだめなら明日がある 明日がある
一度や二度のつまづきに
寄ろけても立ちあがれ
花がおしえる 心意気
捨てちゃいけない 一途な夢を
風が背をおす 日も来るさ
嘆くな男なら
今日がだめなら明日がある 明日がある
冷たい風に耐えながら
冬空に咲く花の
花の魂(こころ)を 抱いてゆく
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